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予防型歯科医院づくりに向けた患者教育の事例

予防型歯科医院づくりに向けた患者教育の事例

予防型モデルの構築を目指す歯科医院がどのように患者教育を進めているか、一つの事例を紹介します。

患者との「約束」の重要性

患者との「約束」の重要性

ある先生から、「予防歯科を進めるために患者に対して何が重要か?」と聞かれたことがあります。実践したことは2つです。1つ目は、次回の予約を取る際の言葉遣いの工夫です。2つ目は、来院の必要性を自然に感じてもらうためのテクニックです。

ある歯科医院での出来事に感銘を受けた話があります。衛生士がチェアサイドで予約を取る際に「次回のお約束はいつにしましょうか?」と言ったのです。この「約束」という言葉に驚きました。

患者も「じゃあいついつにしましょうか」と自然に応じているのです。ここで重要なのは、予約という言葉を使わない点です。この歯科医院では、「予約」という言葉を使わずに「約束」という言葉を使うようにしていました。

その理由を後で聞いたところ、衛生士たちは「予約」という言葉を避け、「約束」という言葉を使うことで患者さんに「来ないといけない」と思わせる効果を狙っていたのです。

「予約」と「約束」の違い

この言葉の選び方の背景には、衛生士たちの話し合いがあります。ある衛生士の実家が飲食店を営んでおり、そこでの最大の課題は、予約が簡単に取れる一方で、キャンセルも簡単に行われてしまうことでした。

歯科医院でも同様の状況が起こりがちです。患者に「予約」と言うと、飲食店の予約と同じように軽く考えられ、いつでもキャンセルできると思われてしまいます。しかし、「約束」という言葉を使えば、キャンセルは約束を破る行為となり、患者に強い義務感や責任感を持たせることができるのです。

このように、言葉一つ変えるだけで患者の意識に大きな変化をもたらすことができます。言葉の力を理解し、適切な表現を選ぶことで患者との良好な関係構築を目指すことができるのです。

実際の効果

この「予約」から「約束」という言葉の変更は、実際に大きな効果をもたらしました。導入から1年後には患者のキャンセル率が半減したのです。

この取り組みは、スタッフの意識にも良い影響を与えました。患者との「約束」を守るために、最良の診療とおもてなしを提供しようと意識が高まり、結果として、患者の満足度も向上し、キャンセル率はさらに低下したのです。

実践とその成果

現在、私たちのコンサルティング先でもこの取り組みを始めています。まだ実践して2か月ですが、すでに変化が見られ始めており、「伝え方」の重要性を改めて感じています。

適切な言葉遣いは、患者の意識を変え、医療現場の雰囲気さえも改善することが可能です。一方で、不適切な言葉は、患者との信頼関係を損ねかねません。

予防歯科を進める上で、患者にどのように納得してもらうか、そして満足感を与えるかが重要になります。言葉の選び方や伝え方を工夫することで、患者の意識と行動に大きな変化をもたらすことができるでしょう。

ただ、実践するにあたり、どうすれば「仕組み化」できるのか?どうすればクリニックに「定着」させることができるのか、と思われる先生方は多いのではないでしょうか。実は予防歯科をクリニックに広げるにあたり、一番難しいのが「仕組み」なのです。

クリニックごとに現場の内情や課題は異なるため、どうすれば自分の医院に合った仕組みが作れるのか悩む先生も多いと思います。

一度、クリニックの「現場診断」を受けクリニックの課題を明確にしてみてはいかがでしょうか。