今回は、福岡市で30年以上続く地域密着型の歯科医院が、経営コンサルタントのサポートを受け、わずか2年で見事黒字化を達成した事例をご紹介します。
スタッフの離職や院内の混乱、無駄な経費と低い自費率による赤字経営など、多くの歯科医院が抱える悩みをどのように克服したのでしょうか?
「歯科医院の経営が苦しい」
「スタッフが定着しない」
「古い体質を変えたい」
そのような悩みを抱える院長先生は必見です。
歯科医院の概要
今回ご紹介するのは、福岡市東区で30年以上続く、保険診療を主体とした地域密着型の歯科医院の経営再建事例です。
院長先生と副院長先生はご夫婦で共に歯科医師。院長先生は一般歯科、副院長先生は小児歯科を担当されています。
- 所在地:福岡市東区
- 開業年数:30年以上
- 診療科目:一般歯科、小児歯科
- 診療方針:保険診療主体、地域密着型
- 患者数:約80名/日
- 売上:1,400万円~1,500万円/月
- チェア数:8台
- スタッフ構成:歯科医師(常勤)4名、非常勤3名、歯科衛生士7名、歯科助手4名、受付4名、保育士1名
院長先生ご夫妻以外のスタッフは全員フラットな組織で、マネージャーや事務長といった役割を担う人材はいませんでした。
当社から見た当時の医院の印象
初めて医院に足を踏み入れた時の印象は、正直なところあまり良いものではありませんでした。受付周りはカルテがあちこちに置かれており、患者が来院するたびにその山の中からカルテを探し出さなければならないという状況です。
受付だけではなく、院内全体が同様に乱雑で不衛生な状態でした。特に、水回りやユニット周りは非常に汚れており、印象材や石膏、器具が散らかり放題。その状態を誰も片付けようとしない様子でした。
さらに、医療機器関係もほぼ更新されておらず、全体的に古びた印象を受けました。典型的な昭和型の歯科医院です。さらに、高額なレセコンを無駄に購入させられている状況も見受けられました。
医院が抱える深刻な悩み
30年という長きにわたり経営されてきた当該医院は、患者もそれなりに来院していましたが、すべてが「なんとなく」行われている状況でした。これまで通りの運営では通用しなくなり、さまざまな課題に直面したのです。
大手の経営コンサルタントに相談しても具体的な解決策が見つからず、経営状況は悪化の一途をたどっていました。さらに、歯科衛生士の採用も難航し、将来への不安が募るばかり……。
長年「なんとなく」やってきたツケが、ここに来て一気に噴出したのです。
チームワークの崩壊
業務の属人化が顕著でマニュアルもほとんど整備されていませんでした。採用は難航し、せっかく採用しても定着率は低く、経営者の思い通りに動いてくれない。スタッフ間のコミュニケーションが一切なく、協力関係も全く見受けられませんでした。
モチベーションの低いスタッフ
全スタッフに共通していたのは、やる気のなさと投げやりな仕事ぶりです。患者の口腔内の状況を覚えていないどころか、何を治療したかも記憶もなく記録も残していませんでした。さらに、暇があればサボっており、業務に対する意識が極めて低い状況です。
患者からの信頼の欠如
患者そのものからの評価も芳しくなく、口コミの内容も悪いものでした。苦情も多く、初見の状況からも明らかに問題が多いと感じました。
疲弊する院長と副院長
バックオフィス業務を担当する副院長は、休診日や休日も事務作業に追われ、心身ともに疲弊していました。院長も副院長も人材に関する悩みが尽きず、ストレスを抱える日々が続いていたのです。
低迷する自費診療
自費診療の割合が低いことも経営を圧迫する一因となっていました。自費を増やしたいという思いから押し売り状態になり、無理に増やそうとした結果、患者が流出し、経営がさらに苦境に立たされることとなったのです。
旧態依然とした体制
設備機器の更新が行われないことに加え、経営者の考え方やスタッフの働き方にも時代にそぐわない点が多く、すべてが昭和型のままでした。
このような状況では、課題が多く改善が必要な点が明確でした。
経営再建前の課題と取り組み
以下に、具体的な課題とその解決に向けた取り組みについて紹介します。
医院全体の課題
医院としての価値観や行動指針を示すクレドが存在せず、スタッフ間で目標や価値観が共有されていませんでした。また、医院としての経営方針も不明確な状態でした。
組織・人材面の課題
「受付」「歯科衛生士」「歯科医師」の採用に常に悩まされていました。2年以内にスタッフが全員入れ替わるほどの高い離職率で、新しく入ったスタッフも1年以内に離職してしまうケースが頻発していました。
面接の対応や選考基準が適切でなく、ミスマッチの人材を採用していたことが原因の一つです。
①求人媒体の選定と求人紙面の刷新
退職のスパイラルを止めるため、まず求人媒体を選定し、求人情報の内容を刷新。
②人材紹介会社の活用
人材紹介会社と連携。条件に合う候補者を厳選して紹介してもらう体制を整えました。
③面接方法の改善
面接に同席し、慎重に候補者を選定。また、医院見学では、業務内容や職場の雰囲気を伝えられるよう工夫しました。
④採用後の手続きとオリエンテーションの実施
入職後の手続きを整備し、オリエンテーションや初期研修を実施することで、新入スタッフの早期離職を防ぎました。
これらの取り組みの結果、「退職者ゼロ」という成果を達成できました。
受付・院内環境面の課題
受付、院内環境は多くの課題がありました。
課題1:受付・院内の煩雑さ
院内の「4S(整理・整頓・清掃・清潔)」がされておらず、カルテの管理も徹底されていませんでした。
まずカルテを整理し、管理方法を見直した上で徹底的な管理体制を作り直しました。4S活動を推進し、受付や院内全体の環境を改善。
課題2:水廻り・ユニットの衛生状態
水廻りやユニット周りの衛生状態が悪く、改善が必要でした。
徹底的な清掃と消毒を行い、水廻りやユニットの衛生状態を大幅に改善。この作業には多大な時間を要しましたが、根気強く取り組み、清潔で快適な環境を実現しました。
課題3:無駄な在庫の多さ
使用していない、販売していない、または古い在庫が多数ありました。
在庫の棚卸しを行い、不要な在庫を処分。特に歯ブラシなどの消耗品については適正在庫量を明確化し、在庫の偏りや不足を予防しました。
課題4:受付業務の非効率性
受付スタッフの人数が多く、非効率な業務も多い状態でした。たとえば、午前と午後の現金集計を4人で1人20分ずつ行う、診療後のカルテ整理を1人1時間かけて行うといった作業です。
業務の洗い出しを行い、必要な業務と不要な業務を明確化しました。また、各業務にかかる時間を計測し、可視化することで業務のボトルネックを特定。
その結果、受付全体で月350時間の無駄な作業時間を削減することに成功しました。さらに、受付効率化に伴い、人員配置の見直しと一部スタッフの自然退職により、受付スタッフを4名から2名に削減。
課題5:会計ミス・保険証返却ミス
会計ミスや保険証の返却ミスがよく発生していました。
会計ミスを撲滅するため、自動釣銭機を導入。会計時の検算や締め時の検算の効率化を図りました。
保険証返却ミスを防ぐため、返却確認手順を明確化したマニュアルを作成し、受付スタッフへの再教育を実施。その結果、ミスはほぼゼロになりました。
課題6:予約ミスの多発
予約のダブルブッキングや予約漏れが頻繁に発生していました。
予約管理システムの導入。ダブルブッキングや予約漏れを防ぎました。また、予約確認の電話やメールによるリマインドで予約ミスの発生率を大幅に低減しました。
経営面の課題
経営面でも深刻な課題がいくつもありました。
課題1:高いキャンセル率
当該医院のキャンセル率は20%を超えており、多くの患者が治療を中断する状況が発生していました。
1日80人の患者のうち20%がキャンセルすると、16人がキャンセルしたことになります。1日に16人、20日間で320人もの患者がキャンセルしたことに。仮に1人当たりの平均診療単価を1万円とすると、実に320万円もの機会損失が発生していたことになるのです。
キャンセルの理由を把握せず、安易に予約を入れていたため、予約は埋まっているものの実際にはキャンセルが多く、スタッフの空き時間が生じていました。
さらに、患者への治療説明や指導が不十分だったため、治療途中で通院をやめてしまう患者も少なくありませんでした。
これらの問題を解決するため予約管理システムを導入し、以下の取り組みを実施。
①キャンセルデータを取得
キャンセルが多い患者層や傾向を分析し、キャンセルリスクの高い患者には事前の案内やリマインド連絡を行うことで、キャンセルを未然に防ぐ取り組みを行いました。
②患者指導の強化
「担当衛生士制」を導入。診療時の説明方法を見直しました。患者が治療内容を理解し、納得して治療を受けられるように努めました。
これらを実施した結果、キャンセル率は10%まで減少し、月間160万円の収益改善につながりました。
課題2:低いリコール率
治療中心の診療体制でメンテナンスの割合が低く、治療とメンテナンスの比率が7:3でした。リコール率が低いことが課題です。
①予防型歯科医院への転換
治療とメンテナンス比率を逆転させることを目標に、予防型歯科医院への転換を目指しました。
②担当衛生士制の導入
担当衛生士制の導入にあたっては、スタッフからの反発も予想されたため、まずは患者が衛生士を指名できる制度から始め、徐々に担当衛生士制へと移行。
③患者への物品販売の強化
患者への物品販売を強化するため、スタッフに商品知識や販売方法の研修を実施。その結果、月間の物品販売額は2~3万円から30万円へと10倍以上に増加しました。
④患者指導の改善
歯科医師と歯科衛生士が連携して患者指導を行い、リコールやメンテナンスの重要性を理解してもらうための提案を行いました。
課題3:新患獲得と定着の困難
E-Parkからの集客に大きく依存しており、新患経路が偏っていました。
E-Parkからの月間新規患者数は30名でしたが、その90%以上が3回目以降の治療に来院しないという深刻な課題を抱えている状況です。特に、PEやRCT後に通院をやめてしまう治療中断のケースが目立ちました。
E-Parkへの依存を減らし、患者からの紹介や口コミによる新規患者獲得に注力しました。
その結果、月間新規患者数は40名に増加し、3ヶ月以内に通院をやめてしまう患者はいなくなりました。結果としてリコール率も向上し、継続的な来院が増加しました。
そして、取り組みから1年後、EーParkを解約することになりました。解約後も患者間紹介により新患は増え続け口コミも良質な口コミに変化していきました。
課題4:低い自費率
一部の歯科医師がインセンティブ獲得を目的として、患者のニーズを十分に考慮せず強引に自費治療を提案した結果、担当患者の半分が離れてしまうという問題が発生していました。
まず、適切なインセンティブ制度を導入し、患者にとって最適な治療の提案を促すようにしました。
次に、患者への自費診療の提案方法の見直し、押しつけではなく、丁寧でわかりやすい説明を心掛けるようにしました。
さらに、専門知識を持つ自費コーディネーターを配置し、患者に寄り添った自費診療の提案を行う体制も整えました。
課題5:売上と人件費比率・収益のバランス
当初、売上の50%を人件費が占めており、低い利益率が課題でした。
この課題を克服するため、多角的なアプローチで収益構造の改善に取り組みました。
①物品販売の強化
歯ブラシや歯科専売の先口液などの物品販売を強化し、年間300万円の売上増加を実現。
②キャンセル率の低減
予約管理システムの導入や患者指導の強化を行い、キャンセル率が大幅に低減。年間1,900万円の売上増加につながりました。
③人員配置の最適化と採用コストの削減
業務効率化を図り、人員を4名(歯科医師・受付・助手計4名)削減。これにより、合計2,500万円の人件費削減を達成しました。
また、採用コストの見直しと離職率の低下により、年間200万円の採用コスト削減にも成功しました。
④材料費・不要なリース品の見直し
材料費などの見直しによって年間100万円のコスト削減を行いました。また、不要なリース品の見直しでも累計700万円のコスト削減を実現。
⑤業務効率化による残業時間の削減
受付業務の効率化で月350時間、カルテ整理で月20時間の削減に成功し、合計で年間約750万円の残業代を削減しました。
これらの取り組みにより、年間5,200万円以上のコスト削減を達成し、収益性の高い医院へと生まれ変わりました。
働き方の課題
福利厚生の充実度や従業員の働き方に改善の余地がありました。
経営改善によるコスト削減で生まれた資金を活用し、従業員の満足度向上と働きやすい環境づくりを目指しました。
まず、平日の診療終了時間を18時とすることで、従業員のプライベートな時間を確保。さらに、週休2.5日制を導入し、ワークライフバランスの向上を図りました。
従業員が健康的に働けるよう食事手当も支給。また、勤務時間内にスキルアップのための勉強会を実施し、スタッフのモチベーション向上を支援しました。
それ以外にも、従業員のニーズに合わせた福利厚生メニューを拡充し、働きがいのある職場環境を整えました。
現場オペレーションの課題
現場オペレーションの課題も一つずつ解決していくことで、効率性と生産性の向上を目指すことが可能です。
課題1:診療時間・予約枠の設定
歯科医師がそれぞれの判断で予約枠を設定していたため、診療内容に見合わない時間枠で予約を取ることがありました。
その結果、診療時間が大幅に遅延したり、逆に空き時間が多く発生したりするなど、非効率な状況が発生。
まず、診療内容別に必要な時間を細かく設定。治療内容ごとに歯科医師の治療スピードや癖も考慮して、時間枠を設定。
その結果、1日の診療を30分前倒しで終了しても、以前よりも多くの患者を診察できるようになりました。
課題2:非効率的なオペレーション
治療後の片付け、患者誘導、治療説明がスタッフごとに異なり、一貫性がありませんでした。
各業務のマニュアルを作成・共有し、誰が担当しても一定の品質を保てるようにしました。
また、診療コーディネーターを配置し、患者誘導や治療説明、予約管理などを一括して担当させることで歯科医師や歯科衛生士が治療に専念できる環境を整え、業務の効率化を図りました。
さらに、治療説明やカウンセリングは専用のカウンセリングルームで行うように変更。患者のプライバシー保護と円滑なコミュニケーションを両立させました。
課題3:機能していない経営コンサルタントによる弊害
以前の経営コンサルタントは、スタッフの意向や技量(得意・不得意)を一切把握せず、適切な指導が行われていませんでした。
たとえば、国が推進する予防歯科ではなく、歯科医師中心の治療型クリニックを提案し、歯科衛生士の役割を軽視するような体制を強化しようとしていたのです。
その結果、チーフ候補を含む多くの歯科衛生士が離職。
このような状況を受け、当社へ支援要請がありました。
まず、全スタッフとの面談を実施し、意向を取りまとめ、その上で経営者と方針を擦り合わせ、国が推進する予防歯科への転換を行いました。
さらに、担当衛生士制の導入や、歯科衛生士のスキルアップを目的とした内外の専門家による勉強会の企画・実施。歯科衛生士が能力を発揮できる環境づくりに注力しました。
課題4:歯科衛生士の教育不足
一人ひとりの技量を把握できておらず、適切な指導や育成ができていないことが原因で歯科衛生士の離職が相次ぎ、人材の定着が困難に。また、チームワークの連携不足やコミュニケーション不足も深刻で、業務がスムーズに進まない原因となっていました。
全員参加・協議型の勉強会を実施しました。歯ブラシに関する基礎知識から全身疾患、SPT、TBI、TEK、咬合に至るまで幅広いテーマで知識を共有。活発な意見交換を通じて、歯科衛生士一人ひとりのスキルアップを図るとともにチームワークを築きました。
さらに、他の歯科医院の症例検討会や勉強会に参加する機会を設けました。講習も実施し、実践的な知識や技術を学ぶ機会を提供。人的交流とさまざまな診療スタイルに触れ、視野を広げられるようになったのです。
これらの取り組みの結果、歯科衛生士の離職が減少し、定着率が向上しました。チームワークやコミュニケーションも改善され、治療型から予防型への転換をスムーズに進めることもできました。
バックオフィスの課題
すべての事務業務を副院長(院長夫人)が担当していました。診療の合間や休日返上で事務作業に追われ、心身ともに疲弊しきっていたのです。その結果、業務の遅延やミスが頻発し、悪循環に陥っていました。
また、税理士や社会保険労務士など士業の要望により、紙のタイムカードや手書きFAX、現金での経費精算など、アナログな業務が続いていました。
業務効率化のために、勤怠管理や給与計算にクラウドシステムを導入。士業の方々にもこのシステムに合わせた運用をお願いしました。また、法人クレジットカードを導入し、現金での経費精算を削減しました。
さらに、事務・秘書を新たに配置し、院長夫人の業務負担を軽減。これにより、院長夫人は診療と経営に専念できるようになりました。
新たなサービスの導入
最後に当該医院で新たに導入したサービスを紹介します。
送迎サービス
当該クリニックは、高齢者の増加が顕著な地域に位置しており、当社の経営診断を行った結果、高齢者の診療離れが顕著であることが判明しました。
そこで、離脱患者へのリサーチを実施したところ、多くの患者が足の痛みや腰の不調により自力で通院できなくなっていることがわかったのです。
私たちは、患者の送迎サービスの導入を提案しました。既存の事務スタッフが患者を送迎する体制を整え、サービスを開始。
このサービスは大変好評で利用者が急増しました。年間で400名以上の定期的な受診につながり、新患もすべて既存の患者からの紹介で来院されています。
訪問診療
以前から訪問診療の構想はありましたが、ノウハウや体制が整わず実現に至っていませんでした。
歯科衛生士の採用が順調に進み、離職もなくなったことで訪問診療に必要な体制が整いました。そこで、訪問診療専門の指導衛生士を招き、スタッフへの研修を実施。送迎サービスでも通院が難しい患者のために訪問診療をスタートさせました。
経営再建後の結果
経営再建後、当該医院はさまざまな面で成果を上げられました。
成果1:売上と利益の向上
年商は、1億5千万円から1億8千万円~1億9千万円へと大幅に増加。
さらに、1千万円の赤字だった利益も3千万円~4千万円の黒字へと転換しました。
成果2:診療比率の変革
以前は、治療中心の「治療型歯科」で、治療とメンテナンスの比率は7:3でした。しかし、今では予防中心の「予防型歯科」へと転換し、その比率は3:7へと逆転。
成果3:人員の改善
職種 | 当時(Before) | 現在(After) | 増減 |
歯科医師(常勤) | 4名 | 3名 | 1名削減 |
歯科医師(非常勤) | 3名 | 3名 | |
歯科衛生士 | 7名 | 8名 | 1名増員 |
歯科助手 | 3名 | 1名 | 2名削減 |
受付 | 4名 | 2名 | 2名削減 |
保育士 | 1名 | 1名 | |
事務 | 0名 | 1名 | 1名増員 |
合計 | 22 | 19 | 3名削減 |
以前は年間で半数以上の従業員が離職する状況でしたが、改善後は2年連続で離職者ゼロを達成しました(産休・育休からの復職者を除く)。
歯科衛生士も以前はモチベーションが低い状態でしたが、現在は8名のモチベーションの高い歯科衛生士が活躍しています。また、人員配置の見直しにより、総人数を22名から19名に削減し、効率的な運営を実現しました。
成果4:患者層の変化
予防歯科の重要性を理解してくださる患者が増え、定期的なメンテナンスに通う方が増加しました。これにより、治療のみで来院される患者が減少し、リコール率も改善されました。
また、家族や友人、知人に当該医院を紹介するケースが増加。これにより、予防歯科への意識が高い新患が増え、キャンセル率の低い継続的なお付き合いができる患者層へと変化したのです。
総合的な成果と今後のビジョン
この2年間の取り組みを通じて、当該医院は大きな変革を遂げました。
まず、経営面では、開業以来最も安定した状態で運営できるようになりました。売上は増加し、利益も改善され、収益性の高い医院へと成長。その結果、念願だったすべての診療チェアの入れ替えや最新CTの導入など、設備投資にも積極的に取り組めるようになりました。
また、スタッフの意識も大きく変わり、意欲的なメンバーが増え、活気ある雰囲気に。開業以来、一番悩みがない状態で経営ができています。
定期的に開催される交流イベントもスタッフ同士の絆を深め、チームワークを育む上で大きな役割を果たしています。
そして先日、スタッフ全員でクリニックの未来を語り合う「方針発表会」を開催。5年後、10年後を見据えたビジョンを共有し、新たなスタートを切ったのです。
まとめ
30年以上続く福岡市の歯科医院が経営コンサルタントのサポートを受け、見事慢性的な人材不足と赤字から脱却し、黒字化を達成した事例をご紹介しました。
スタッフの定着率向上、業務効率化、収益改善といった多岐にわたる課題を解決し、患者満足度を高めながら経営の安定化を実現しました。
特に、スタッフの意識改革、担当衛生士制の導入、新たなサービスの導入による収益源の確保といった取り組みは、ほかの歯科医院にとても参考になるはずです。
もし、あなたの歯科医院も経営課題を抱えているなら、一人で悩まず「プロチーム」によるサポートの力を借りてみませんか?
①クレドの作成・導入・周知
当方からクレド作成を提案し、全スタッフが日々の業務で実践できるよう、導入・浸透のサポートをしました。
②経営方針のコーディネート・実施
経営方針発表会を企画・実施し、全スタッフへの情報伝達を円滑に進めました。
結果、スタッフは「そうだったのか!」と気づきを得て目的や考え方、方針が共有することができ、価値観を共有し活発な議論が行われるに至りました。