近年、予防歯科への関心の高まりや歯科医師不足を背景に、担当衛生士制を導入する歯科医院が増えています。しかし、メリットだけでなくデメリットも存在するため、導入には慎重な検討が必要です。
そこで本記事では、担当歯科衛生士制のメリット・デメリット、導入成功事例や導入ステップを、歯科現場で院長の参謀役を務める現役の歯科事務長が解説します。担当歯科衛生士制の導入を成功させ、医院の成長につなげたい院長先生は、ぜひ最後までご覧ください。
担当歯科衛生士制は導入したほうが良いか?
担当歯科衛生士制の導入の是非は慎重に検討する必要があります。なぜなら、担当制にはメリットとデメリットがあり、医院の目指す方向性や状況によって効果が大きく変わるからです。ここでは、担当制を導入する上で考慮すべき5つのポイントを紹介します。
①医院の目指す方向性
担当制の導入を検討するにあたって、まず自院の目指す方向性を明確にする必要があります。というのも担当制には、メリット・デメリットがあり、地域性や患者層の趣向によっても合う合わないがあるからです。
たとえば、予約制や担当制を導入していない医院でも繁盛している例はあります。また、担当制は導入せずとも予約制を設け、人気を集めている医院も存在します。
つまり、どちらが良い悪いではなく、自院がどのような医院を目指したいのか、地域性や患者層の特性を考慮し、担当制が本当に合致するのかを慎重に見極める必要があります。
②得意とする治療分野と治療計画への考え方
どのような治療を得意としているかによって、担当制の導入の是非が変わってきます。
たとえば、メンテナンスや歯周治療を含めた包括的な治療計画を立てる場合、担当制を導入するメリットは大きいです。
一方、虫歯の治療や抜歯など、一回完結型の治療が中心の場合は、必ずしも担当制である必要はありません。むしろ、効率よく多くの患者を診るためには、担当制を設けない方が良い場合もあります。
つまり、自院がどのような治療方針を重視しているのかによって、担当制の導入の是非を判断する必要があるのです。
③売上比率と自費率
自院の売上比率も担当制導入の検討材料の一つです。たとえば、治療が9割、メンテナンスが1割という場合、担当制は必ずしも必要ではありません。
しかし、将来的にメンテナンスの比率を高めたいと考えているなら、担当制は有効な手段となり得ます。
また、自費診療の比率も考慮が必要です。保険診療が中心の医院では、担当制を導入しても大きな効果は期待できません。
しかし、自費診療の比率が高まるにつれ、患者は「より質の高い、特別なサービスを受けたい」という意識を持つようになります。高額な自費診療を提供する場合は、担当制によって「特別感」を出しつつ、質の高いケアを提供することで、その期待に応え、満足度を高めることができるでしょう。
つまり、自院の売上比率や自費率によって、担当制導入の効果は大きく変わってくるのです。
④地域性の考慮
忘れてはならないのが「地域性」です。歯科医院の立地する地域によって患者層のニーズや価値観は大きく異なり、担当制の必要性も変わってきます。
たとえば、都心部の高所得者層が多いエリアでは、質の高いケアを求める傾向が強く、担当制が受け入れられやすいでしょう。一方、地域密着型の歯科医院が多いエリアでは、必ずしも担当制が求められているとは限りません。
自院が置かれている地域性をしっかりと把握し、それに合わせたサービスを提供することが重要になります。
⑤スタッフの配置
担当制を導入するかどうかは、歯科衛生士の数も考慮して判断する必要があります。もし歯科衛生士の数が不足している場合、担当制を導入しても一人ひとりの患者に十分な時間を割くことができません。
また、歯科衛生士の負担が増えすぎることで離職率の上昇を招いてしまうことがあります。
したがって、担当制導入を検討する際は、現在のスタッフ構成だけでなく、将来的な人員計画も考慮する必要があります。
歯科衛生士の視点から見た担当歯科衛生士制のメリットとデメリット
担当歯科衛生士制は、歯科衛生士のモチベーション向上や患者との信頼関係構築に繋がる一方で、いくつかの課題も抱えています。ここでは、歯科衛生士の視点から見たメリットとデメリットを解説します。
メリット
- モチベーションや責任感が高まる
- 患者と深く関わり、信頼関係を築ける
- 成長を実感できる
モチベーションや責任感が高まる
歯科衛生士にとってのメリットは、モチベーションや責任感が高まり、より熱心に業務に取り組めるようになることです。
患者と深く関わり、信頼関係を築ける
同じ患者を継続的に担当するため、深い信頼関係を築くことができます。コミュニケーションを重ねる中で患者の口腔内の悩みを深く理解し、より適切なケアを提供できるようになります。
成長を実感できる
患者の口腔内環境が改善していく様子を感じられるとやりがいにつながります。また、患者からの感謝の言葉は、歯科衛生士としての成長を実感させてくれるでしょう。実際に担当衛生士制を導入した歯科医院様で衛生士から、成長を実感でき「楽しい」「もっと患者さんを診たい」とモチベーションが上がり離職率が下がった例もあります。それくらい成長を感じられるようになります。
デメリット
- 責任とプレッシャー
- 見逃しへの不安
- スキルアップの必要性
- 休暇取得の難しさ
責任とプレッシャー
担当患者の口腔内健康を長期的に管理する責任は、大きなやりがいとともに、プレッシャーにもなり得ます。口腔内の変化を見逃さないよう、常に気を配らなければなりません。
見逃しへの不安
たとえば、担当していた患者から「前回の検診で見逃されていた虫歯があった」という苦情が入るケースがあります。「なぜ担当なのに気づかなかったのか」と責められることもあるでしょう。担当制であるがゆえに、その責任を一身に背負わなければならず、不安を感じてしまう歯科衛生士もいます。
スキルアップの必要性
また、歯石除去の程度やTBIなど、歯科衛生士の力量によって提供できるケアの質は大きく異なります。それにより、患者満足度に大きな差が出てしまう可能性があるため、担当制を導入する際は、歯科衛生士の教育やスキルアップに力を入れる必要があります。
休暇取得の難しさ
さらに担当患者を抱えていると、休暇を取りづらくなるという問題があります。全く取れないと言う事もありませんが、休みを希望する日の予約再調整をする必要になり、頻繁に希望日に休むことが難しくなることが発生します。
患者の視点から見た担当歯科衛生士制のメリットとデメリット
次に患者の視点から見た、担当歯科衛生士制のメリットとデメリットを解説します。
メリット
- 毎回同じ歯科衛生士に見てもらえる安心感
- 口腔内状況を把握した的確なケア
- 「自分だけのケアを受けている」という特別感
毎回同じ歯科衛生士に見てもらえる安心感
毎回同じ歯科衛生士が担当するため、些細な悩みや不安も打ち明けやすくなり、安心感と信頼感が生まれます。
口腔内状況を把握した的確なケア
また、担当の歯科衛生士は、口腔内の変化や生活習慣、服用薬などを把握しています。一人ひとりに合わせた的確なケアを提供できるため、患者満足度が向上しやすくなります。
「自分だけのケアを受けている」という特別感
自分だけの専門ケアを受けているような特別感を感じられるのも、担当歯科衛生士のメリットです。
デメリット
- 担当衛生士の退職・異動による不安
- 予約の取りづらさ
- 歯科医師とのコミュニケーション不足
- 歯科衛生士のスキルによる治療の質の差
担当衛生士の退職・異動による不安
担当の歯科衛生士が退職した場合、患者は新たな人間関係を築き直さなければなりません。これは、患者にとって大きな負担となる可能性があります。
予約の取りづらさ
担当制であるがゆえに予約が取りづらくなるというデメリットがあります。自分の都合に合わせて予約を入れたいと思っても、担当者のスケジュールも含めて予約日の「相談」をしなければなりません。
歯科医師とのコミュニケーション不足
歯科衛生士がメインで担当するため、歯科医師とのコミュニケーションが不足してしまう可能性があります。
歯科衛生士のスキルによる治療の質の差
担当衛生士の技術や知識レベルによって、提供されるケアの質に差が生じる可能性があります。経験豊富な衛生士であれば安心して治療を受けられますが、経験の浅い衛生士の場合は、技術的な不安を感じる患者もいるでしょう。
医院の視点から見た担当歯科衛生士制のメリットとデメリット
担当歯科衛生士制を医院の視点で見た場合、以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
- 患者情報の詳細な把握とスムーズな対応
- 安定した収益の確保と危機管理
- 歯科衛生士のスキルアップと自主性向上
- 歯科医師の負担軽減と効率的な診療体制
- キャンセル率の低下
患者情報の詳細な把握とスムーズな対応
担当衛生士が患者一人ひとりの口腔内状況や生活習慣、治療履歴などを詳細に把握できるというメリットもあります。
担当衛生士に聞けば、すぐに患者の情報を得ることができるため、スムーズな対応が可能になります。
安定した収益の確保と危機管理
担当歯科衛生士制では、患者がキャンセルしづらくなる傾向にあるため毎月の売上が安定し、予測しやすくなります。これにより、年間の売上予測も立てやすくなり、設備投資などの計画もスムーズに進められるでしょう。
また、コロナ禍のような緊急時でも患者層がある程度固定されているため、安定した集患が見込めます。
実際に、担当歯科衛生士制を導入していない歯科医院では、コロナ禍で多くの苦情が寄せられたという事例もあります。一方、担当歯科衛生士制を導入している医院では、そのような問題はほとんどなかったようです。
このことから、担当歯科衛生士制は安定した売上を確保できることと、コロナ禍のような予期せぬ事態にも強いというメリットがあります。
歯科衛生士のスキルアップと自主性向上
担当歯科衛生士制は、歯科衛生士のスキルアップにも貢献します。担当患者を持つことで、より深く患者の口腔内状態を把握し、適切な判断を下せるようになるからです。
歯科医師の負担軽減と効率的な診療体制
歯科医師の給与は高額であり、人数が増えれば増えるほど経営を圧迫する要因となります。
しかし、担当歯科衛生士制を導入し、メンテナンスや予防処置を歯科衛生士が中心となって行うことで、歯科医師の数を減らすことができます。
歯科医師1名が退職した場合の影響は非常に大きいですが、担当歯科衛生士制を導入していれば歯科衛生士が患者のケアを継続できるため、診療体制に大きな影響はありません。
キャンセル率の低下
担当衛生士との信頼関係が構築されることで、患者は予約をキャンセルしづらくなり、キャンセル率の低下につながります。
デメリット
- 優秀な歯科衛生士の確保と育成
- 担当衛生士の離職による患者流出のリスク
- 情報共有の難しさ
- 患者教育が必要
- 予約変更・キャンセルの対応
- 人件費の増加
優秀な歯科衛生士の確保と育成
担当歯科衛生士制を導入するためには、優秀な歯科衛生士を確保・育成する必要があります。しかし、歯科衛生士の需要が高まっている現在、優秀な人材の確保は容易ではありません。また、育成には時間とコストがかかるため、医院側の負担も大きくなります。
担当衛生士の離職による患者流出のリスク
衛生士が退職した際、引継ぎがうまくいかなかったり、患者と衛生士の仲が良すぎる場合、患者が他の歯科医院に移ってしまう可能性があります。特に、コミュニケーション能力が高く、患者からの人気がある衛生士の場合は、そのリスクはさらに高まります。
情報共有の難しさ
担当歯科衛生士制のデメリットとして、医院側が患者情報を把握しづらくなる点が挙げられます。なぜなら歯科医師が患者を診る機会も限られ、担当歯科衛生士からの情報に頼らざるを得ない状況になるからです。
衛生士からの情報は偏っている可能性があり、患者の全体像を把握することが難しくなる場合があります。
患者教育が必要
担当歯科衛生士制は、予約のキャンセルや変更が医院運営に大きな影響を与えるため、患者教育が重要になります。
定期メンテナンスの重要性やキャンセルによる影響などを丁寧に説明し、患者の理解と協力を得る必要があります。
予約変更・キャンセルの対応
患者側と衛生士側の双方にとって、予約変更やキャンセルの際に手間がかかるというデメリットがあります。
たとえば、担当の衛生士が急に休まなければならなくなった場合、予約を他の衛生士に振り替えたり、予約をキャンセルする必要があります。また、患者側としては、担当衛生士の都合に合わせて予約を変更しなければならない場合があります。業務の負担を増やすだけでなく、患者にも迷惑をかけてしまう可能性があるのです。
人件費の増加
担当歯科衛生士制では、歯科衛生士のスキルや責任感が求められるため、給与水準も高くなる傾向にあります。優秀な人材を確保・維持するためには相応の給与を支払う必要があるため、人件費が増加する可能性があります。
予防歯科を強化するなら担当歯科衛生士制を導入しよう
現在の国の政策を考慮しても、担当歯科衛生士制は必須と言えるでしょう。特に、歯科医師の採用難が深刻化している現状では、歯科衛生士の役割はますます重要になっています。
近年、歯科医師の確保は困難を極めています。高齢化による引退や、若年層の歯科医師志望者の減少により、実際に現場で活躍する歯科医師の数は減少傾向にあります。
一方、歯科医師の登録数は増加していますが、これは引退した歯科医師が登録を残したままになっているケースが多く、実態を表しているとは言えません。
そのため、歯科医師の確保が難しいという前提で経営戦略を立てる必要があり、安定的な経営を目指すためには、担当歯科衛生士制の導入が有効な手段の一つです。
歯科衛生士は比較的確保しやすく、予防歯科にも注力できるため、歯科医師の負担を軽減しつつ安定した診療体制を構築できます。
国の政策も予防歯科を推進する方向にあるため、担当歯科衛生士制は今後の歯科医療においてますます重要な役割を果たしていくでしょう。
担当歯科衛生士制の導入がうまく進まない理由
担当歯科衛生士制は準備なしに導入すると、期待した効果を得られないどころか、患者やスタッフの不満を増大させてしまう可能性があります。
担当制導入が失敗する主な原因は以下の通りです。
- 患者への説明不足
- 非常勤衛生士が多い
- 歯科衛生士のスキル不足
- スタッフ間の連携不足
- システムの未整備
患者の同意も得ずに担当歯科衛生士制を導入すると、混乱や不満が生じることがあります。また、非常勤の歯科衛生士が多い場合、担当制の運用が難しくなることがあります。シフト調整や引き継ぎがスムーズにいかない可能性があるため、事前の検討が必要です。
さらに歯科衛生士の知識や技量が不足していたり、歯科医師や受付との連携がうまくいっていなかったりする場合、患者に迷惑をかけてしまう可能性があります。
このように、担当歯科衛生士制の導入には、人員配置の問題やシステムの整備など、さまざまな課題があります。これらの課題を解決せずに導入してしまうと、うまくいかないケースが多くなってしまうのです。
担当歯科衛生士制をいきなり全面的に導入するのではなく、1年程度かけて段階的に移行しましょう。
担当歯科衛生士制導入の3ステップ
担当歯科衛生士制をスムーズに導入するためには、以下の3つのステップを踏むことです。
ステップ1.指名制から段階的に移行
いきなり担当制に移行するのではなく、まず「指名制」から始めましょう。患者とのコミュニケーションの中で、「次回から私のほうで担当させていただけませんか?」と提案し、同意を得るようにします。
指名が増えてきた段階で担当制に移行することで、患者さんやスタッフの混乱を最小限に抑えられます。歯科衛生士は、患者さんから「あなたにお願いしたい」と言ってもらえるように、コミュニケーション能力や接遇力を高める必要があります。
ステップ2.歯科衛生士の育成とスキルアップ
歯科衛生士が担当制で活躍するためには、薬学、全身疾患、歯科診療に関する幅広い知識を習得し、判断ができるレベルまでスキルアップする必要があります。
たとえば、「この虫歯は経過観察で良いのか、それとも治療が必要なのか、どのタイミングで治療すべきか」といった判断を、歯科医師に最終的な診断を仰ぐ前にできるようになることが理想です。
このような知識と判断力を備えた衛生士を育成することで、担当歯科衛生士制を円滑に運用できるようになります。
ステップ3.予約管理システムの導入
担当歯科衛生士制を導入すると、メンテナンスの予約が増える可能性があります。
以前は、空いているチェアに患者を割り振るだけで良かったかもしれませんが、担当歯科衛生士制はメンテナンス枠を確保し、歯科医師の治療枠と組み合わせながら予約調整をしなければなりません。
従来の紙台帳やシンプルな予約システムでは対応が難しくなるため、専用の予約管理システムを導入しましょう。
システムを活用することで予約状況が可視化でき、予約変更やキャンセルも柔軟な対応が可能になります。
担当歯科衛生士制導入による成果事例
担当歯科衛生士制の導入の具体的な事例を参考に、その効果を見ていきましょう。
導入前 | 導入後(1年後) | |
治療比率 | 70% | 35% |
メンテナンス比率 | 30% | 65% |
年間売上高 | 1億6,000万円 | 1億6,000万円 |
物品年間売上 | 100万円未満 | 300万円 |
歯科医師数 | 4名 | 3名 |
歯科衛生士数 | 6名 | 7名 |
歯科助手数 | 4名 | 1名 |
※導入後2年経過時点で売上1億8,000万円到達。
ある歯科医院では、導入前は治療とメンテナンスの比率が7:3で、年間売上高は約1億6000万円でした。スタッフは歯科医師4名、歯科衛生士6名、歯科助手4名という体制で、物品の年間売上は100万円に満たない状況でした。
担当歯科衛生士制導入1年後、売上高は1億6000万円とほぼ横ばいでしたが、歯科医師が1名退職しても診療体制に影響はありませんでした。
また、歯科衛生士は増員、歯科助手は削減され、人件費の最適化にも成功。物品の売上も年間300万円に増加しました。担当歯科衛生士制導入前は年間100万円にも満たなかったことを考えると、大幅な増加と言えるでしょう。
さらに2年後には売上高が1億8000万円に増加し、増収増益を達成しました。
担当歯科衛生士制導入の効果
担当衛生士制は、歯科医院にとって中長期的な収益向上に貢献するだけでなく、以下のようなプラスの効果をもたらします。
患者満足度の向上と口コミ改善
担当歯科衛生士制によって患者一人ひとりに寄り添ったケアが可能となり、患者満足度が向上します。
満足した患者からの紹介が増えることで、新規患者の獲得にもつながることも。さらに、ポジティブな口コミが増加し、医院の評判が大きく向上します。
歯科医師の負担軽減と採用コスト削減
担当衛生士が予防処置やメンテナンスを担うことで、歯科医師は治療に専念できるようになり、負担が軽減されます。これにより、より効率的な診療体制を構築でき、必要な歯科医師数を減らすことも可能となり、採用コストの削減にもつながります。
予約状況に関する患者クレームの減少
担当歯科衛生士制では、3ヶ月後、4ヶ月後の予約を取るため、「今日見てくれ」といった急な要望やクレームが減ります。患者にとっても自分のペースで治療計画を立てられるため、通いやすいと感じるでしょう。
歯科衛生士のモチベーション向上と離職率低下
歯科衛生士のやりがいやモチベーションが向上し、離職率が低下したケースもあります。さらに、教育プログラムを導入することで、スキルアップにもつながり、良いサイクルが生まれます。
まとめ
担当衛生士制を導入することで、患者満足度の向上、収益の安定化、歯科医師や歯科衛生士の負担軽減など、さまざまなメリットが期待できます。
しかし、導入には自院の状況や目標に合致しているか十分に検討することが重要です。
ただ、実際に担当歯科衛生士制を導入したことで、売上減少につながったというケースはあまり聞きません。むしろ、自費率の上昇や離職率の低下など、プラスの効果が見られることが多いです。
導入を決めた場合は、どのような方法で、どのようなステップで導入していくかが重要です。この点については、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
経験豊富なコンサルタントや既に担当歯科衛生士制を導入している医院の事例を参考に、自院に合った導入計画を立てられます。
担当衛生士制導入は、歯科医院の成長戦略において重要な決断です。慎重な検討と適切な準備を行うことで、患者満足度向上と医院の発展を実現できるでしょう。
記事の監修者
まるごと事務長 担当コンサルタント M
年間医院収入2億円 スタッフ数30名の現役事務長
人材採用、離職率改善、教育体制づくり、オペレーション改善、助成金活用によるコスト削減などを得意とし、訪問診療の立ち上げ・採算化まで、院長の右腕として経営面の実務を幅広く担っている