助成金を管轄しているのは厚生労働省ですが、実は様々な助成金が存在しており、その数は数千種類とも言われています。毎年4月に改訂が行われるので、前年度とは異なる支給要件が設定されることも珍しくありません。ここからは、2022年6月現在で確認できている助成金のうち、歯科医院で活用できるものを一覧にまとめ、ご紹介いたします。
【2022年版】歯科医院が利用できる助成金一覧
1. キャリアアップ助成金
非正規雇用である従業員のキャリア向上を目的とし、取り組みを行った企業に支給される助成金です。
歯科医院で活用しやすいものは「正社員化コース」です。
例えば、有期雇用契約を交わしていた契約社員を正社員へ、または無期雇用のスタッフを正社員に転換した場合などに助成金を受給することができます。
- 助成額(令和4年度)
(1)有期雇用契約から正社員に転換:1人につき57万円
(2)無期雇用契約から正社員に転換:1人につき28万5,000円
※申請するコースによって変動
キャリアアップ助成金は他にも「賃金規定等共通化コース」「賞与・退職金制度導入コース」「短時間労働者労働時間延長コース」などがあります。
2. 人材開発支援助成金
専門的なスキルや知識を向上させ、スタッフのキャリア形成を支援するための助成金です。
特に歯科医院に役立つコースは「教育訓練休暇付与コース」でしょう。スタッフが自主的に研修へ参加した際に、年次有給休暇ではない他の有給休暇を与えるとする制度を作った場合に、助成金が支払われます。
- 助成額(令和4年度)
(1)教育訓練休暇制度 経費助成30万円
(2)長期教育訓練休暇制度 経費助成20万円
(3)教育訓練短時間勤務等制度 経費助成20万円
人材開発支援助成金には「特定訓練コース」「一般訓練コース」「教育訓練休暇等付与コース」「特別育成訓練コース」「人への投資促進コース」の5種類があります。
3. 働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)
働き方改革の推進に向け、専門家によるコンサルティングを受けたり、機器等を導入するなど環境整備を行った際に事業主に対して支給される助成金です。ここでは一例として、労働時間短縮・年休促進支援コースをご紹介します。
- 助成額(令和4年度)
50万円~150万円
- 対象となる取り組み
(1)労務管理担当者に対する研修
(2)労働者に対する研修、周知・啓発
(3)外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士等) によるコンサルティング
(4)就業規則・労使協定等の作成・変更
(5)人材確保に向けた取組
(6)労務管理用ソフトウェアの導入・更新
(7)労務管理用機器の導入・更新
(8)デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
(9)労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
(小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など
引用元:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」
労働時間短縮・年休促進支援コース以外にも、「勤務間インターバル導入コース」「労働時間適正管理推進コース」「団体推進コース」があります。
4. 両立支援等助成金
両立支援等助成金は、育児や介護のために仕事と家庭の両立にあたって支援が必要なスタッフに施策を講じ、サポートした事業主が受給できる助成金です。ここでは、歯科医院が活用しやすい「育児休業等支援コース」を取り上げます。
- 助成額(令和4年度)
(1)育休取得時 28万5,000円
(2)職場復帰時 28万5,000円
(3)業務代替支援 新規雇用:47万5,000円
(4)職場復帰後支援 28万5,000円
- 支給の流れ
(1)スタッフと面談し、支援プランを作成する
(2)業務の引継ぎなどを行い、育児休業を取得
(3)育休中のスタッフに業務の情報提供を実施
(4)育休復帰後、雇用を6か月以上継続する
(5)申請書を提出
両立支援等助成金は上記にくわえ、「出生時両立支援コース」「介護離職防止支援コース」「不妊治療両立支援コース」があります。
5. 新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置に係る助成金
新型コロナウイルス感染症から、妊婦を守るための健康管理措置を実施した事業所が対象です。医師や助産師に休みが必要と判断された妊婦に休暇を与える制度を整備し、取得期間中に休暇を合計5日以上取得させることが要件です。
- 助成額(令和4年度)
1事業所につき15万円
- 支給の流れ
(1)制度を整備する
(2)スタッフに周知する
(3)休暇を付与する
(4)申請書を提出
対象となる休暇取得期間は令和3年4月1日~令和5年3月31日までとなっており、申請期限は令和5年5月31日です。
「新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置に係る助成金」と混同されやすいものに医療機関・薬局等向けの補助金や医療従事者向けの慰労金があります。「新型コロナウイルス感染症に係る医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業補助金」はすでに終了しているので注意してください。
この記事の情報は2022年時点での助成金情報をまとめております。助成金に関する最新情報や歯科医院での実際の活用・受給事例についてはお問い合わせいただけましたらご案内させていただきます。